2020年7月23日 京都にてALSの在宅患者が、SNSで知り合った医師2人に自身の永眠を依頼し、実際に行動してしまった事件に関する報道でネットでも大変注目を浴びています。報道当初は安楽死の賛否に関してネット上で議論が交わされていましたが、翌日すぐに加害者の優性思想的な犯行という報道がなされ、ネットでも全く別方向への議論へと発展していきました。
ALS患者京都安楽死事件の概要 当初
- ALS在宅生活の女性が安楽死を希望
- ネット上で知り合った医師2人に依頼
- 実際に行動に至る
ALS患者京都安楽死事件の詳細
- これは2019年11月30日に起きた事件
- 2019年11月初旬の被害者が安楽死を求めるネットへの書き込み
- ネット上で知り合った医師と知り合い、安楽死の協力を取り交わす。
- 11月30日、知り合いが来るからとヘルパーを退席させる
- ヘルパーを退席させた15分程度の間に医師二人が自宅訪問
- 被害者が利用していたヘルパーさんが意識不明の被害者を発見
- 検視の結果普段使用していない薬物が検出された
- 防犯カメラの映像から医師二人が浮上
- 2020年7月23日の報道につながる
ALS患者京都安楽死事件の当初のネットの声
- 日本は安楽死・尊厳死を認めるべきだ
- 法律に違反しているとわかって、医師は患者の苦しみや訴えを尊重したのだろう。
- 患者の希望のもと安楽死に協力したことで、罰するなんておかしい
安楽死・尊厳死については賛否両論ありますが、当初はこのように、立派な医師、優しい医師、医師の信念や苦渋という当該医師を擁護する声も多くありました。
ALS患者京都安楽死事件の追加報道による世論の逆転
しかし、翌日追加の情報が報道され世論の方向は全く別のものになりました。
- 容疑者Aは2018年に宮城県名取市で呼吸器内科と精神科の医院を開業。
- 容疑者Bは東京都内でフリーランスの内科医として勤務。
- 容疑者は被害者より100万円振り込まれていた
- 二人はかつて同じ病院で勤務する同僚だった
- 「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術」という書籍を出版。
- 「証拠を残さず、老人を消せる方法がある。医療に紛れて人を永眠させることだ」「違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、犯罪かどうかを見抜けないこともある。とネット上への書き込みがあった。
- 「高齢者は見るからにゾンビ」「高齢者への医療は社会資源の無駄」「寝たきり高齢者は棄てるべき」と優性思想と見られる発言をネット上で繰り返していた。
- ツイッターでも安楽死や尊厳死に関する肯定的書き込みを多くつぶやかれていた。
前日までの報道では、医師を擁護する意見が多かったが、この報道から「やまゆり園入所障害者事件」の加害者の優性思想を思い出した方も少なくないだろう。
前日までの医師の信念、患者の思いに寄り添った法の逸脱といった推測は、完全に塗り変えられてしまった。
ALS患者京都安楽死事件の追加報道による世論の逆転②
2020年7月25日に追加情報の報道がありました。
- 妻会見のニュアンス:夫は患者の気持ちに寄り添った上での行為だと思われる。
- 医師のうち一人は医師免許を不正取得していた疑い。
安楽死・尊厳死とALS概要
ALSは神経が機能しなくなっていく神経難病。
神経が機能しなくなり範囲は段々と全身に広がり、呼吸能力も衰えてしまうが、人工呼吸器を使用し10年以上暮らす人もいる。
眼球運動は比較的長く機能しており、文字盤などを利用し視線でコミュニケーションを図る方もいる。
しかし、後天的な病気であるためこれまで、普通に生活していた方が段々と何もできなくなってしまう喪失感などから安楽死を望まれる方もいる。
ALSが取りざたされる際に、終末期医療や安楽死が議論されている。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)である参院議員 舩後靖彦氏のコメント
ALSを抱える参院議員の舩後靖彦氏は自身のウエブサイトで、下記のコメントを公表している。
『死ぬ権利』よりも、『生きる権利』を守る社会にしていくことが、何よりも大切です。どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信しています」
まとめ
同じALS患者であっても安楽死を求める声、生きる権利を求める声と個人でそれぞれだ異なるということ。
安楽死・尊厳死の是非について結論づけることは難しいが、ALS患者のみならず全ての人間において「個人の意見は様々」だということを忘れてはいけない。
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