高齢者や医療的ケア児など医療的なケアが必要な方は、普段から呼吸器など電力を要する機器を使用している方もいらっしゃいます。なので災害→停電は命に関わる事象となります。今回はそういった呼吸器が必要な方の防災準備や災害時の対応についてご説明いたしますので、是非参考にされてください。
一般の防災情報はよくテレビでも見るけど、家族に呼吸器を使っている家庭向けの防災情報ってあんまりないわよね。
確かに!でもきちんと呼吸器などの医療的なケアが必要な方向けの防災もすすめているんですよ♪簡単に説明しますね♬
災害に備えた準備の基本は「3日分」
一般的に災害時(地震や台風、大雨、大雪などの災害を想定)本格的な救助開始に約3日間かかるといわれています。
非常食や飲料水の準備はもちろん医療用具や衛生用品も備えられるものは、3日分非常用として準備をしていたほうがよいでしょう。
(参考資料:総合防災ポータル、災害時行動パンフレット(難病対策センターひろしま))
基本的な非常用物品例
- 現金・通帳・身分証明書
- 携帯電話と充電器
- 懐中電灯(ヘッドライトが手が空くので良い)
- 軍手・帽子(ヘルメットや防災頭巾)
- 食料・飲料水・経管栄養剤
- オムツ・生理用品・ビニール袋
- 衣類・防火用具・タオル
- 携帯ラジオ・乾電池
- ティッシュ・ウェットティッシュ
- 粉ミルク・哺乳瓶
ティッシュやウェットティッシュは衛生面であった方がいいです。粉ミルクや哺乳瓶は赤ちゃんが栄養を取る際に欠かせないので、それも準備していた方がいいですね。
呼吸器が必要な人の防災準備(高齢者・障害者・医療的ケア児)
まず、一般の防災準備と比べて事前に準備しないといけない事がたくさんあります。ですが、その分支援者がたくさんいるかと思います。周りの支援者と協力して下記の準備を行ってください。
なお、下記であげているものはあくまでも例なので、日常で必ず使用しないといけないものが別にある場合は、災害時にどうするか別途考えておく必要があります。
呼吸器を必要とする方の非常用物品例
- アンビューバック
- 人口呼吸器外部バッテリー
- 予備の回路一式
- 滅菌グローブ
- 蒸留水
- ラジオ機能が付いた機器
- 懐中電灯(ヘッドライトが手が空くので良い)
- 携帯電話のモバイルバッテリー
- 自家発電機やガソリン
- 延長コード
延長コード?と思われるかもしれませんが、避難先によってはコンセントの位置から使用が難しい場合もありますので、備えておいた方がいいでしょう。
人工呼吸器の設定を印刷しておく
- 使用時間(「夜間のみ〇時間」など)
- 機種
- 喚起モード
- 1回換気量(IPAP,EPAP)
- 呼吸回数
- I・E比
- 気道内圧上限
- 離脱(外すことが可能かどうか、何時間外してよいか)
- 呼吸器会社(会社名、会社住所、担当者、電話番号)
適切な設定が必要ですので、パニックになった際に思い出すのが難しかったり、医療機関に提供する情報として大変重要ですので、必ず印刷しておきましょう。(手書きでも良いですよ)
停電時はブレーカーの確認または電力会社への連絡を
まず、人工呼吸器の内部バッテリーは概ね3時間、外部バッテリーも概ね3時間です。
ただし、バッテリーが古かったり充電していないと、最大時間は変わりますので、余裕をもって日ごろから充電しておく習慣が必要です。
手順①電気が消えたらブレーカーを確認。ブレーカーが落ちている→ブレーカーをあげましょう。
手順②ブレーカーが落ちていない場合は、電力会社の最寄の営業所に連絡しましょう。
電力会社に伝える内容は、事前に文章化しておく
おそらく慌てるかと思います。パニックになり上手く伝えられないかもしれません。
要するに「電気がないと呼吸器が使えないので困る」ということを言えればいいのですが、下記の文言を参考に文書で準備しておくのも良いかと思います。
〇〇市〇〇町の山田です。人工呼吸器を使っていますが、〇月〇日〇時〇分に停電しました。
バッテリーが〇日の〇時までしか持ちません。至急、復旧工事をお願いします。
かかりつけの医療機関から離れた所で災害にあった場合への備え
もし出先で災害に陥った場合、かかりつけの医療機関ではない所で受け入れをお願いすることもあります。受け入れ先の医療機関に参考にしてもらうために簡単なプロフィールを作っておきましょう。
かかりつけ以外の医療機関へ受け入れてもらう際のプロフィール例
- 氏名
- 血液型
- 障害者手帳の等級
- 学校名等(医療的ケア児の場合主に特別支援学校)
- 生年月日
- 住所
- 家屋状況(2階建ての一軒家で隣に駐車場有等)
- 電話番号
- 診断名
- 主治医(医療機関)
- 今までの経過
- 合併症
- 処方箋(最新のものに適宜更新)
- 基礎情報(身長、体重、基礎体温、SPO2、脈拍)
かかりつけ以外の医療機関へ受け入れてもらう際のプロフィール例②
①身体状況
- ADL(介助量や自立度)
- 食事(経口摂取/経管栄養、食事の形態)
- 排泄(オムツ使用、浣腸必要、トイレ可能)
- 特定症状(呼吸障害があるなど)
- 医療処置(呼吸器の使用、呼吸困難時はアンビュー使用など)
- その他
②支援体制
- 医療(通院先、リハビリ先)
- 学校(医療的ケア児の場合は、〇〇学校や訪問教育など)
- 呼吸器メーカー(会社名、担当者名、住所、電話番号)
- 訪問看護
- ショートステイ先
③特記事項
(その他あれば記入を)
緊急避難時の流れ(例)
例えば下記のように順番でリスト化しておくと良いでしょう。
- 緊急時の連絡:まずどこに連絡するするか決めておく(電力会社または行政機関など)(電力会社がつながらない場合と、もしもの場合は災害伝言ダイヤル「171」)
- 避難を開始:避難先と避難手段だけではなく、避難開始基準を決めておく(避難準備情報発令時など)
- 避難後に連絡:避難後の状況説明を行う所を決めておく
- 家族への連絡:連絡先と氏名
関係者リストを作成し、携帯が無い時でも慌てない
これもリスト化しておきましょう。(下記項目の機関名や氏名、連絡先)
- 呼吸器業者
- 主治医
- 避難先
- 行政機関
- 相談支援専門員(障害者・医療的ケア児)
- 介護支援専門員(高齢者)
- 自治会役員
- 保健所
- 家族・親族
協力いただける人達リストとして確認しておきましょう。
地域の電力供給先を確保しておく(高齢者・障害者・医療的ケア児)
どうしても外部から電力の供給を必要とする場合もあるかと思います。
しかし、一般のご家庭には自家発電機なんて普通はありません。
自家発電機は医療機関だけではなく、一般の企業や工場などにも自家発電機を所有している場合がありますので、事前にお願いしておくと、もしもの時に慌てなくて済みます。
また、知り合いがいれば個人でお願いできると思いますが、いない場合は行政機関や関係機関を通してお願いできるよう協力を依頼してみましょう。
避難場所の選定は複数個所(高齢者・障害者・医療的ケア児)
避難場所の設定は重要です。
- 住まいから避難先へのルートが安全か。
- 一般の人と同じ避難場所である場合でも大丈夫か。
- 電源は確保できるか。(呼吸器が必要な方は電源を複数使用する場合もあります)
必ず、実際にそこに避難することを想定して決めてください。
なお、災害の状況によっては事前の避難先に向かうことが困難な場合もありますので、複数個所優先順位を決めて設定しておくとよいでしょう。
まとめ
呼吸器を必要とする方の、防災準備を簡単にまとめてみました。
あくまでも、一例を挙げたものになりますので、これを参考に関係者と共にオリジナルのものを作り上げてみてはいかがでしょうか。
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