個別支援計画を書くたびに「この目標の書き方で合っているのか」と迷う支援者は少なくありません。特に長期目標と短期目標の違いが曖昧なまま書いてしまい、モニタリングの場で「目標が達成できたかどうか判断できない」という状況に陥るケースが現場では多く見られます。
この記事では、長期目標・短期目標それぞれの定義と役割の違いから、領域別の書き方のコツ、NG例と良い例の比較まで、18年以上の現場経験をもとに具体的に解説します。
長期目標と短期目標の定義と役割の違い
| 長期目標 | 短期目標 | |
|---|---|---|
| 期間 | おおむね1年 | おおむね3〜6か月 |
| 役割 | 支援の方向性・大きなゴール | 長期目標に向けた具体的なステップ |
| 具体性 | やや抽象的でもよい | 必ず具体的・測定可能であること |
ヒコ先生
新人スタッフからよく聞かれるのですが、「意欲的に取り組む」「積極的に参加する」という表現は目標文に使えません。達成を確認できないからです。「〇〇の活動に自分から参加できる(週3回中2回以上)」のように、観察・記録できる形に変換してから書くようにしましょう。
新人スタッフからよく聞かれるのですが、「意欲的に取り組む」「積極的に参加する」という表現は目標文に使えません。達成を確認できないからです。「〇〇の活動に自分から参加できる(週3回中2回以上)」のように、観察・記録できる形に変換してから書くようにしましょう。
良い目標文を書くための4つの条件
① 具体的(Specific)
「何が・どんな場面で・どのように」できるかを明示する。
② 測定可能(Measurable)
「できた・できなかった」「何回中何回できた」など達成の有無を判断できる表現にする。
③ 達成可能(Achievable)
現在の力から見て、設定期間内に届きそうなレベルに設定する。
④ 期間明示(Time-bound)
いつまでに達成するかを計画書の期間欄に明示する。
5領域別 NG例 vs 良い例の比較
健康と生活
| 種別 | NG例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 長期 | 健康的な生活を送ることができる | 声かけがあれば食事・排泄・着替えの順番を守って日課をこなすことができる |
| 短期 | 身の回りのことを意欲的に行う | スケジュール表を見て、活動後に自分で次の準備をする(週3回中2回以上) |
人間関係と社会性
| 種別 | NG例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 長期 | 友達と仲良く遊べるようになる | スタッフが仲立ちをした場面で、2〜3人とルールのある遊びを最後まで続けることができる |
| 短期 | お友達に優しくする | 順番を待つ場面で「まだ?」と口頭で確認しながら5分以上待てる(月10回中7回以上) |
アセスメントと目標のつなげ方
STEP 1|現在の姿を「できること・難しいこと」で整理する
「〜ができない」ではなく、「〜は声かけがあればできる」「〜は2回に1回できる」という形で整理する。
STEP 2|「次の一歩」を短期目標にする
「2回に1回できる」なら「3回中2回できる」が次の一歩。アセスメントから目標文が自然に導き出せる。
ヒコ先生
現場で試してきた中で効果があったのは、計画書を説明するときに「今のAくんはここ」「3か月後にここを目指す」「1年後にここを目指す」と3段階で図示する方法です。保護者が視覚的につかめると、目標への納得感がぐっと上がります。
現場で試してきた中で効果があったのは、計画書を説明するときに「今のAくんはここ」「3か月後にここを目指す」「1年後にここを目指す」と3段階で図示する方法です。保護者が視覚的につかめると、目標への納得感がぐっと上がります。
まとめ
- 長期目標は1年間の方向性、短期目標は3〜6か月の具体的なステップ
- 「意欲的に・積極的に・仲良く」などの抽象的な表現は使わない
- アセスメントで拾った「今の姿」から自然に目標文を導き出す
- 保護者には「なぜ・どうやって・どう判断するか」の3本柱で説明する
- 目標文の良し悪しは「半年後に達成できたか判断できるか」で確認する
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