放デイの報酬のしくみ(基本報酬と加算)
放課後等デイサービスの報酬は、大きく「基本報酬」と「加算」の2つで構成されています。まずはこの基本的なしくみを整理しておきましょう。
基本報酬とは
基本報酬は、支援の区分(障害の状態・支援の必要性)、施設の定員規模、開所日数区分、サービス提供時間区分などをもとに決定されます。2024年の報酬改定で基本報酬の体系が見直され、「特定プログラム特化型」と「標準型」に分かれました。利用する子どもの障害支援区分や個別サポート計画の内容によっても単位数が変わります。
加算とは
加算とは、一定の要件を満たした場合に基本報酬に上乗せして算定できる報酬のことです。職員の配置状況、実施した支援内容、関係機関との連携実績などに応じて多種多様な加算が設定されています。加算を適切に算定することが、施設運営の安定につながります。
加算の種類をしっかり把握することで、「うちの施設はまだこの加算を取れていなかった」という気づきが生まれます。算定もれは事業所の損失に直結しますので、年に1度は全種類を見直す習慣をつけましょう。
放デイ加算 全種類一覧(2026年最新)
以下に主要な加算をカテゴリー別にまとめました。単位数の幅がある加算は、要件によって区分が異なります。最新の単位数は各都道府県・市区町村の報酬告示を必ず確認してください。
| カテゴリー | 加算名 | 算定方法 | 単位数の目安 | 算定要件概要 |
|---|---|---|---|---|
| 職員配置 | 専門的支援体制加算 | 利用人数ベース | 要件別・最大187単位/人 | 専門職または経験5年以上の職員を配置 |
| 職員配置 | 専門的支援実施加算 | 実施回数ベース | ○単位/回(告示確認) | 専門職等が当日の支援を直接実施した回数 |
| 職員配置 | 福祉専門職員配置等加算 | 1日ベース | Ⅰ:15単位 Ⅱ:10単位 Ⅲ:6単位 /日 | 社会福祉士・介護福祉士等の有資格者の配置割合(3段階) |
| 職員配置 | 強度行動障害支援者配置加算 | 1日ベース | 155単位/日 | 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)修了者の配置 |
| 支援内容 | 欠席時対応加算 | 回数ベース | 94単位/回(月4回上限) | 急な欠席に対し連絡調整・相談援助を行った場合 |
| 支援内容 | 家族支援加算(旧:家庭連携加算) | 回数ベース | Ⅰ:187単位 Ⅱ:280単位 /回(月2回上限) | 居宅訪問による保護者支援等。訪問時間で2区分 |
| 連携 | 関係機関連携加算 | 回数ベース | Ⅰ:50単位 Ⅱ:80単位 /回 | 学校等(Ⅰ)・医療機関等(Ⅱ)との文書連携 |
| その他 | 送迎加算 | 片道ベース | 通常:54単位 重症心身等:76単位 /片道 | 施設の車両等で送迎を実施した場合(片道ごと) |
上記の単位数は参考値です。定員規模・地域区分・障害児の状態区分等によって実際の単位数は異なります。専門的支援実施加算の単位数は告示を直接ご確認ください。必ず最新の報酬告示・各自治体の通知を確認してから算定してください。
【カテゴリー別詳細】職員配置に関する加算
専門的支援体制加算(配置の加算・利用人数ベース)
2024年報酬改定で整理された、職員の配置状況に応じて利用人数ベースで算定できる加算です。利用者1人ごとに単位数が加算されるため、利用人数が多いほど収益への影響も大きくなります。
算定できる職員の要件によって区分が分かれており、単位数が異なります。
| 区分 | 配置する職員の要件 | 単位数 |
|---|---|---|
| 専門職配置型 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理士等の専門職 | 告示確認 |
| 経験者配置型 | 児童指導員・保育士等として5年以上の実務経験がある職員 | 最大187単位/人 |
配置要件を満たしていても、体制届の提出がなければ算定できません。採用・配置変更後は速やかに届出を提出しましょう。
専門的支援実施加算(実施回数ベース)
専門職等が実際に当日の支援に直接関わった回数ごとに算定できる加算です。「配置しているだけ」では算定できず、実際に支援を実施した日・その内容が記録に残っていることが必要です。
算定要件:
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理士等の専門職、または経験5年以上の児童指導員・保育士等が
- 個別支援計画に基づいて直接支援を実施した場合
- 実施日・実施者(氏名・職種)・支援内容を記録に明記すること
専門職が施設に来ていても「スタッフへのアドバイス・コンサルテーション」だけでは、直接支援として算定できない場合があります。子どもへの直接的な支援への関与が記録に残っていることを確認しましょう。
福祉専門職員配置等加算(3段階・1日ベース)
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・保育士などの有資格者が常勤職員に占める割合に応じて、3段階で算定できる加算です。
| 区分 | 有資格者の割合(常勤職員中) | 単位数 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 100% | 15単位/日 |
| Ⅱ | 75%以上 | 10単位/日 |
| Ⅲ | 50%以上 | 6単位/日 |
【カテゴリー別詳細】支援内容・連携に関する加算
欠席時対応加算(月4回上限・94単位/回)
利用予定日に急な欠席が生じた際、スタッフが保護者に連絡を取り、必要な相談援助を行った場合に算定できます。月4回を上限として算定可能です。「連絡を取った」だけでは不十分で、相談援助の内容を記録に残すことが求められます。形式的な電話連絡にとどまらず、保護者の状況を聞いて次回の支援につなげる対応が本来の趣旨です。
家族支援加算(旧:家庭連携加算)(月2回上限・訪問時間で2区分)
サービス管理責任者または担当の支援員が、利用者の自宅を訪問して保護者への相談援助・家庭での支援方法の指導などを行った場合に算定できます。1か月に2回まで算定可能で、訪問時間によって単位数が異なります。
| 区分 | 訪問時間の要件 | 単位数 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 1時間以内の訪問支援 | 187単位/回 |
| Ⅱ | 1時間を超える訪問支援 | 280単位/回 |
訪問の目的・内容・開始〜終了時間を記録に残しておくことが算定の要件となります。2024年改定で名称・要件が整理されましたので、自治体窓口でも最新の運用を確認してください。
関係機関連携加算(連携先で2区分・回数ベース)
在籍校・医療機関・相談支援事業所などの関係機関と、文書等を通じて連携を行った場合に算定できます。連携先の種別によって2区分(ⅠとⅡ)に分かれており、それぞれ単位数が異なります。
| 区分 | 連携先 | 単位数 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 学校・保育所・認定こども園等との連携 | 50単位/回 |
| Ⅱ | 医療機関・相談支援事業所・保健所等との連携 | 80単位/回 |
支援会議への参加や情報提供書の送付など、記録が残る形での連携が必要です。口頭のみのやりとりでは算定が認められない場合があるため、必ずメール・FAX・文書等で記録を残しましょう。
送迎加算(障害の程度で2種・片道ベース)
事業所の車両等を使って利用者の送迎を行った場合、片道ごとに算定できます。対象となる子どもの状態によって単位数が異なります。
| 区分 | 対象 | 単位数 |
|---|---|---|
| 通常 | 一般的な送迎 | 54単位/片道 |
| 重症心身障害等 | 重症心身障害児等に対する送迎(乗降介助あり) | 76単位/片道 |
乗降介助の記録・乗車名簿の管理が実地指導でチェックされやすい項目です。
強度行動障害支援者養成研修修了者配置加算(155単位/日)
強度行動障害のある子どもの支援を行う上で、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修の両方)の修了者を配置することが要件です。配置しているだけでなく、当該利用者の支援に実際に関わっていることが前提となります。研修修了証の管理と、修了者の勤務実績の記録が必要です。
2024年報酬改定で変わった主な点
「配置」と「実施」が明確に分離された
2024年改定の重要な変更点は、専門的な支援に関する加算が「体制(配置)加算」と「実施加算」に明確に分離されたことです。
- 専門的支援体制加算:専門職や経験5年以上の職員を「配置している」ことで算定。利用人数ベースで毎月安定的に算定できる。
- 専門的支援実施加算:実際に当該日の支援に「直接携わった」ことで算定。実施した回数ごとに加算される。
以前は「配置しているだけ」で算定できた部分が整理され、実際の支援内容・記録との整合性がより厳しく求められるようになっています。
福祉専門職員配置等加算の見直し
有資格者の割合に応じて3段階(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)に分かれている加算ですが、2024年改定で対象となる資格の範囲や割合の基準が一部見直されました。常勤・非常勤の区分や、算定対象に含まれる職員の範囲について、自治体窓口や指定権者への確認が推奨されます。
報酬改定の内容は全国共通ですが、届出の様式・提出期限・解釈の運用は都道府県・市区町村によって異なる場合があります。不明点は必ず指定権者(都道府県・政令市等)に直接確認してください。
加算を活用するための3つのポイント
① 算定もれを防ぐチェックリストを作る
- 専門的支援実施加算:専門職等が実際に支援に入った日の記録はあるか
- 欠席時対応加算:対応記録と月4回の上限管理はできているか
- 家族支援加算:訪問記録(訪問時間含む)は作成済みか(月2回上限の管理)
- 送迎加算:乗車名簿・乗降介助の記録は整備されているか
- 関係機関連携加算:連携は文書等で記録が残っているか(口頭のみはNG)
- 体制届の内容は現在の職員配置と一致しているか
② 記録の整備が算定の生命線
実地指導で最も指摘されやすいのが「算定しているが記録が不十分」というケースです。加算を算定するには、支援の事実を証明する記録が必要です。日々の支援記録・面談記録・連絡帳・訪問記録などに、加算の要件を満たす内容が明記されているかを定期的に確認しましょう。
③ 新人スタッフへの周知と定型フォームの整備
現場で18年以上見てきて感じるのですが、新人スタッフが一番困るのが「どの記録が加算に関係するのか分からない」という点です。加算ごとに「どんな記録を・どこに・何を書くか」をまとめた定型フォームを用意しておくと、スタッフ全員が迷わず記録でき、算定もれも大幅に減ります。管理者やサービス管理責任者が最初に整備しておくことをおすすめします。



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