発達障害の子にイライラしてしまう自分が嫌になったら|夏休みに親が限界を迎える理由と、少しラクになる考え方

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発達関係記事
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「もう限界」——そう思った瞬間に、大きな声で怒鳴ってしまった。子どもの驚いた顔、しゅんとした背中を見て、頭が冷えた瞬間に襲ってくるのは、猛烈な自己嫌悪ではないでしょうか。

「なんであんな言い方をしてしまったんだろう」「この子はきっと、私のことを怖い親だと思っている」。夜、子どもの寝顔を見ながら、そんなふうに自分を責めていませんか。

先に、はっきりお伝えします。あなたが冷たいわけではありません。あなたの愛情が足りないわけでもありません。今、心と体が悲鳴をあげるくらい、疲れがたまっているだけです。

ヒコ先生

ヒコ先生
支援の現場で18年、たくさんの保護者の方とお話ししてきました。「怒ってしまった自分が嫌になる」「かわいく思えない瞬間がある自分がこわい」——そう打ち明けてくれる方は、本当にたくさんいます。それは、あなたが手を抜かずに向き合ってきた証拠でもあるんです。
みちくさの子

みちくさの子
せんせい、なつやすみになってから、おうちのひとが なんだか いつもより おこりんぼうさんな気がするの。どうして?
ヒコ先生

ヒコ先生
いい質問だね、みちくさ。夏休みは、おうちの人が一日中ずっと「先生」や「見守り役」をがんばり続けているんだ。がんばる時間が長すぎて、こころの電池が切れかけているだけなんだよ。おうちの人が悪いわけじゃないんだ。
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なぜ夏休みに限界がくるのか——「性格」ではなく「構造」の問題

夏休みになると、なぜこんなにイライラしてしまうのか。それは、あなたの性格や忍耐力の問題ではありません。夏休みという期間そのものが、保護者に大きな負荷をかける「構造」になっているからです。

24時間、休みなく「見守り役」になる

学校や園に通っている間は、先生という第三者が子どもを見てくれています。夏休みは、その役割がまるごと保護者にのしかかります。トイレ休憩のような小さな「ひとりの時間」すら確保しづらくなる方も少なくありません。

宿題は「教える」だけでは終わらない

発達特性のある子にとって、宿題は「量」よりも「取りかかるまで」「集中を保つこと」自体がハードルになりやすいものです。何度も声をかけ、癇癪に付き合い、それでも終わらない——この繰り返しは、想像以上に体力と気力を奪います。

予定を立て続ける負荷

学校がある日は時間割が決まっていますが、夏休みは「今日は何をして過ごすか」を親が毎日考え続けなければなりません。この目に見えない予定管理も、静かに保護者を消耗させます。

周りと比べてしまう場面が増える

プールや旅行、習い事の話がSNSやママ友との会話で増える時期でもあります。「うちの子はできない」「うちは大変なのに」と、比べるつもりがなくても比べてしまう場面が増えるのも、夏休み特有の負荷です。

ある調査では、発達障害やグレーゾーンの子を育てる保護者の73.2%が、夏休み期間中に「普段よりイライラやストレスを感じる」と回答しています。そして、その最も大きな原因として挙げられていたのが「宿題のサポート負担」でした。つまり、多くの保護者が同じところでつまずいているのです。あなただけが特別に弱いわけでは、決してありません。

イライラが噴き出す前に、体はサインを出している

「気づいたら怒鳴っていた」という時ほど、実はその前に体がサインを出していることが多いです。ご自分に当てはまるものがないか、確認してみてください。

サイン 具体的な状態
眠りが浅い 布団に入ってもなかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚める
音に敏感になる きょうだいげんかの声、テレビの音がいつもよりつらく感じる
笑えなくなる 子どもの面白い言動に、以前のように笑えない
小さなことにイライラする コップを倒した、靴を揃えないなど、些細なことに強く反応してしまう
「もう無理」が頭をよぎる 一日に何度も、そんな言葉が浮かぶ

このサインが増えてきたら、それは「頑張りが足りない」のではなく、「休息が足りない」という体からのメッセージです。

頑張りを増やすのではなく、減らす——今日からできる工夫

疲れているときほど、「もっと頑張らなきゃ」と力を入れてしまいがちです。でも今、必要なのは「増やす」ことではなく「減らす」ことです。

  • 完璧な食事をやめる。レトルト・お惣菜・宅配を「手抜き」ではなく「時短の工夫」として使う
  • 「今日はここまで」を、朝のうちに先に決めておく(宿題は1ページだけでOKにする、等)
  • 放課後等デイサービスや一時預かり、ファミリーサポートを迷わず利用する
  • 宿題の量について、担任の先生に「家庭でのペースを相談したい」と伝えてみる
  • SNSを見る時間を減らす。他の家庭の「できていること」と比べない

怒鳴ってしまったあとの、立て直し方

子どもへの伝え方

怒ってしまったあと、難しい言葉はいりません。「さっきは大きな声を出してごめんね」「イライラしてたけど、あなたが嫌いなわけじゃないよ」。シンプルな言葉で十分です。

自分自身の立て直し方

その場を一度離れる、深呼吸をする、水を一杯飲む——小さなことで構いません。「気持ちを一度リセットする自分なりの方法」を、ひとつ持っておくと楽になります。

ヒコ先生

ヒコ先生
「さっきは大きな声でごめんね」——このひとことを子どもに伝えられた保護者の方を、私はたくさん見てきました。それは失敗ではありません。子どもは、そのやりとりから「人は間違えても、ちゃんと仲直りできるんだ」ということを学んでいきます。謝れる姿を見せることも、大切な子育てのひとつです。

ひとりで抱えなくていい、頼れる場所

夏休みのしんどさは、家庭だけで抱え込む必要はありません。頼れる場所は、思っている以上にたくさんあります。

  • 相談支援専門員:福祉サービス全体の使い方を一緒に考えてくれる心強い存在です
  • 放課後等デイサービスの一時利用・レスパイト:数時間でも「自分の時間」を持つことが、立て直しにつながります
  • 自治体の子育て相談窓口:保健センターや子育て支援課でも、育児の悩みを相談できます
  • 児童発達支援センター:通所していなくても、地域の相談窓口として利用できる場合があります

つらさが長く続くようなら、抱え込まずに専門の窓口へ早めに相談することも、大切な選択肢のひとつです。

ヒコ先生

ヒコ先生
「一時預かりを使うのは甘えかもしれない」と話してくれた保護者の方がいました。でも実際に使ってみたら、「数時間離れただけで、子どもに優しくできる自分に戻れた」と話してくれました。頼ることは、子どものためにもなるんです。

夏休みに疲れて、イライラしてしまう自分を責めなくて大丈夫です。それは、あなたが手を抜かずに向き合ってきたからこそ生まれる疲れです。少しずつ「減らす」工夫を取り入れながら、この夏を乗り切っていきましょう。

ヒコ先生

この記事を書いた人|ヒコ先生

放課後等デイサービス・児童発達支援の現場に18年。児童発達支援管理責任者として、個別支援計画の作成から日々の療育、保護者支援まで携わっています。

社会福祉士/精神保健福祉士/公認心理師/児童発達支援管理責任者/相談支援専門員/医療的ケア児コーディネーター/児童指導員/成年後見人/ペアレントトレーニングリーダー養成研修修了者

おわり

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