二学期に向けて学校に伝えておきたいこと|発達障害の子の配慮を担任と共有する実践ガイド

スポンサーリンク
発達関係記事
この記事は約6分で読めます。

一学期、担任の先生に子どもの特性や困りごとを伝えたつもりだったのに、面談や連絡帳のやり取りで「あれ、ちゃんと伝わっていなかったのかな」と感じたことはありませんか。「あれだけ話したのに」「プリントも渡したのに」と、もどかしい気持ちになった方も多いと思います。

二学期は、夏休みという区切りを経て、担任の先生自身も一度立ち止まって子どもたち一人ひとりを見直すタイミングです。一学期に伝わりきらなかったことを、責めるのではなく「仕切り直す」チャンスとして活用できます。この記事では、放課後等デイサービス・児童発達支援の現場で18年、保護者と学校の間に立って情報共有のお手伝いをしてきた支援者の立場から、学校に「伝わる」伝え方を具体的にお伝えします。

よつは

よつは
一学期もがんばって先生に伝えたのに、二学期もまた一から説明しないといけないの?なんだか疲れちゃう。
ヒコ先生

ヒコ先生
一から、ではなくていいんですよ。一学期の経験があるからこそ「何が伝わって、何が伝わらなかったか」がはっきりしています。それを踏まえて伝え方を少し変えるだけで、同じ内容でもぐっと届きやすくなります。今日はそのコツをお話ししますね。
スポンサーリンク

なぜ伝えたことが伝わらないのか

「伝えたのに伝わらない」のは、先生が聞いていなかったからではありません。学校という現場の構造上、起こりやすいすれ違いがあります。

担任は一人で数十人を見ている

小学校の担任は、多いクラスで30人以上の子どもを一人で見ています。一人ひとりの配慮事項をすべて記憶し続けるのは、どんなに熱心な先生でも簡単ではありません。「聞いた」ことと「日々の対応に反映され続ける」ことの間には、どうしても差が生まれやすいのが実情です。

口頭の情報は流れていく

送り迎えの立ち話や電話での説明は、その場では「わかりました」となっても、記録として残りません。後日「あの時話したはずの内容」を先生が正確に思い出すのは難しく、行事や他の業務が重なるとなおさら埋もれてしまいます。

「困っています」だけでは動けない

「うちの子、集団行動が苦手で困っています」という伝え方は、気持ちは伝わっても、先生が明日から何をすればいいかがわかりません。学校側からすると「具体的にどう動けばいいか」が見えて初めて、対応に移せます。

伝わる伝え方の3原則

放デイの現場で保護者の代わりに学校へ情報を届ける機会が多くありますが、伝わる連絡には共通点があります。次の3つを意識するだけで、同じ内容でも受け取られ方が変わります。

①場面を具体的にする

「パニックになります」ではなく「予定変更があると、教室の隅で耳をふさいで動けなくなることがあります」のように、いつ・どこで・どんな行動が起きるかまで書きます。場面がイメージできると、先生も対応をシミュレーションしやすくなります。

②配慮してほしいことは1〜2個に絞る

伝えたいことがたくさんあっても、一度に渡すのは1〜2個に絞るのがおすすめです。項目が多いと優先順位がつけられず、結局どれも実行されないまま終わってしまうことがあります。まず一番困っている場面を1つ、確実に対応してもらうところから始めます。

③紙に書いて渡す

口頭だけでなく、必ず紙(またはデータ)に残して渡します。連絡帳の1ページでも、A4一枚のメモでも構いません。形に残しておくことで、担任が変わったときや、学年主任・管理職と情報共有するときにもそのまま使えます。

ヒコ先生

ヒコ先生
放デイでも、保護者から預かった伝達事項をそのまま学校に口頭で伝えるより、簡潔なメモにして連絡帳に挟んでもらう方が、後日「ちゃんと引き継がれていた」と実感することが多いです。紙に残すことは、先生を信頼していないからではなく、先生の負担を減らすための工夫なんです。

NG例→OK例 変換表

「困っています」という表現を、そのまま「してほしい配慮」に変換する練習をしてみましょう。よくある伝え方を、場面と配慮を具体化した形に書き換えた例です。

NG例(伝わりにくい) OK例(場面+配慮が具体的)
感覚過敏があります 掃除機の音が苦手で、聞こえると教室を出てしまうことがあります。使う前に「今から掃除機を使うよ」と一声かけていただけると落ち着けます
切り替えが苦手です 活動の変わり目でぐずることがあります。終わる5分前に「あと5分だよ」と声をかけていただくと切り替えやすくなります
コミュニケーションが苦手です 困った時に「助けて」と言葉で言うのが難しく、黙って固まってしまいます。表情がこわばっていたら「大丈夫?」と声をかけていただけると助かります
こだわりが強いです 席や道具の配置が変わると落ち着かなくなることがあります。席替えの前に一声かけていただけると安心して過ごせます
集団行動が苦手です 大人数での活動が長く続くと、耳をふさいで動けなくなることがあります。難しいときは廊下など一人になれる場所を数分借りられると立て直せます
学習面で配慮をお願いします 板書を写すのに時間がかかります。写真撮影の許可、またはプリント配布をいただけると助かります

共通しているのは「場面」と「してほしい行動」がセットになっている点です。読んだその日から実行できる形になっているかを確認してみてください。

渡すもの・渡すタイミング

伝える内容が固まったら、渡す形とタイミングも大切です。始業式前後〜9月上旬は、担任が新学期の見通しを立てる時期にあたり、特に届きやすいと感じています。

  • サポートブック・情報シート:特性・得意なこと・苦手な場面・有効だった対応をまとめた1〜2枚のシート。既存のものがあれば二学期版に更新して渡します
  • 連絡帳:日々の細かなやり取りに。前述のOK例の書き方を1文でも入れておくと効果的です
  • 個別の教育支援計画・個別の指導計画:作成の対象かどうかは自治体や学校により異なります。作成されている場合は、二学期の目標や配慮事項を面談で一緒に見直す機会にできます
  • 個人面談:シートを見せながら口頭でも補足できる貴重な機会です。前述の「配慮は1〜2個に絞る」を面談でも意識すると、限られた時間の中で確実に伝わります

放デイ・児発と学校をつなぐ

放課後等デイサービスや児童発達支援を利用している場合、事業所が持つ情報を学校と共有することで、伝わり方がさらに変わることがあります。家庭とも学校とも違う「第三者の場」での様子が蓄積されているためです。

例えば「この声かけで落ち着いた」「この順番で説明すると理解しやすかった」といった成功パターンが事業所で見つかっていれば、そのまま学校に共有することで、先生が一から試行錯誤する時間を減らせます。

ヒコ先生

ヒコ先生
ここで大切なのが、事業所が学校に情報を伝える前に、必ず保護者の方に許可を取ることです。「学校にも共有していいですか」と一言確認してから動くのが基本のルールです。もし通っている事業所からまだそういった提案がなければ、保護者の方から「学校に共有してほしい情報があれば一緒にまとめてもらえますか」と相談してみるのも一つの方法です。

それでも伝わらないときの相談先

ここまでの工夫を試しても対応が変わらないと感じたら、担任一人に働きかけ続けるのではなく、学校の中の別の窓口を頼ってみてください。

  • 特別支援教育コーディネーター:各学校に配置されている、特別支援教育の校内連携を担当する先生です。担任を通さずに直接相談することもできます
  • スクールカウンセラー:子ども本人や保護者の気持ちの面から、学校生活の困りごとを一緒に整理してくれます
  • 教育委員会の相談窓口:学校内での相談が難しい場合や、複数の学校をまたぐ相談は、自治体の教育委員会の窓口が対応してくれることがあります。窓口の名称や体制は自治体により異なります

一学期に伝わらなかった経験は、失敗ではなく二学期の伝え方を見直す材料です。場面を具体的にし、配慮を絞り、紙に残す。この3つを意識して、二学期のスタートを仕切り直してみてください。

おわり

コメント

タイトルとURLをコピーしました