感覚統合とは?固有受容感覚・前庭感覚・触覚の働きと発達支援の工夫

スポンサーリンク
発達関係記事
この記事は約3分で読めます。

「なぜこの子はじっとしていられないのか」「触られるのをこんなに嫌がるのはなぜ?」——現場でよく聞かれる疑問です。その答えのひとつが、感覚統合にあります。

感覚統合とは、脳が体の内外から届く複数の感覚情報を受け取り、整理し、行動につなげるプロセスのことです。1960〜70年代にアメリカの作業療法士エアーズ博士が提唱した概念で、現在も発達支援・療育の現場で広く活用されています。

スポンサーリンク

感覚統合とは何か——脳の「交通整理」の働き

この「脳の交通整理」の働きを感覚統合と呼びます。感覚統合がスムーズに機能していれば、授業中に姿勢を保ちながら黒板を見て話を聞く、といった複数の動作を同時にこなすことができます。一方、感覚統合がうまく機能しないと、行動・感情・学習に様々な困難が生じます。これは「わざとやっている」「努力が足りない」ではなく、脳の情報処理の特性によるものです。

感覚統合で扱う「7つの感覚」

感覚 役割
① 視覚 形・色・動きを認識する
② 聴覚 音・言葉・リズムを処理する
③ 触覚 皮膚への接触・圧力・温度を感じる
④ 固有受容感覚 筋肉・関節の動きや力加減を感じる
⑤ 前庭感覚 重力・バランス・スピードを感じる
⑥ 嗅覚 においを感じる
⑦ 味覚 味を感じる

このうち支援の現場で特に重要な役割を果たすのが、固有受容感覚・前庭感覚・触覚の3つです。

3つの基礎感覚を詳しく見る

① 固有受容感覚

筋肉・腱・関節に分布するセンサーから得られる感覚です。力加減が極端になる・物を壊しやすい・ふわふわした動きといった特徴が、処理が不安定な場合に現れることがあります。

② 前庭感覚

内耳にある前庭器官が担う感覚で、体が傾いているか・動いているか・回転しているかを感知します。

前庭感覚の偏りが見られる例

  • 授業中にグラグラ・くねくねしてしまう
  • 高いところや揺れる乗り物を極度に怖がる
  • 回転や揺れをいつまでも求めて止まれない
  • 姿勢を長時間保つことが難しい

③ 触覚

皮膚全体に分布するセンサーが担う感覚です。触覚の処理に偏りがある場合、衣服のタグや特定の素材を嫌がる、抱っこや身体接触を避ける、逆に自分から強く触れる・ぶつかるといった行動として現れることがあります。

感覚統合がうまくいかないとどうなる?

見られる様子 考えられる背景
じっと座っていられない 前庭感覚・固有受容感覚の刺激を求めている
力加減ができない 固有受容感覚の処理が不安定
特定の衣類・食感を嫌がる 触覚・口腔感覚の過敏
転びやすい・姿勢が崩れる 前庭感覚・固有受容感覚の処理の偏り
人ごみでパニックになる 聴覚・視覚・触覚の過敏が重なっている
ヒコ先生

ヒコ先生
18年の現場で「この子は落ち着きがない」と言われてきたお子さんが、感覚統合の視点で見ると「固有受容感覚の刺激を体が求めている状態」だったケースは何度も経験しています。「困った行動」の背景に何があるかを考えると、支援の入り口がぐっと広がります。

家庭・放デイでできる支援の工夫

固有受容感覚を育てる活動

  • 重いものを運ぶ(お米・荷物など)
  • 押す・引く・持ち上げる動作(家の手伝いを活用)
  • 粘土・砂遊び・おにぎりを握るなど手への圧力刺激
  • トランポリン・うんてい・のぼり棒

前庭感覚を整える活動

  • ブランコ・ハンモック(ゆっくりした揺れ)
  • バランスボール・バランスボード
  • スキップ・ケンケン・クマ歩きなどのリズム運動

触覚の感覚を調整する工夫

  • 衣類のタグを取り除く・素材を本人が選ぶ
  • 深い圧力刺激(重いブランケット)が安心感につながることがある
  • 砂・スライム・水遊びなど様々な素材に自分のペースで触れる
  • 触られる前に「今から触るね」と予告する
ヒコ先生

ヒコ先生
「感覚統合」という言葉を知っているかどうかで、支援の質が大きく変わります。「困った行動」の背景に感覚の特性があると気づいた保護者の方の、子どもに合った環境を整えるためのヒントになれば嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました